第5章 深遠の記憶
いたいいたいいたいいたい…
なんで?あんなことってなに…?
僕は…博士のところに戻りたくない…
戻ったら…
「あ…あ…あ…」
動けなくなった僕をまさきは抱えて部屋に戻った。
またあのベッドに寝かせてくれると部屋を飛び出していった。
すぐにドクターが部屋に入ってきた。
「ニノ!?どうした!」
「ドクター…頭がいたい…」
「頭か…」
僕の額に、ドクターは手を置いた。
ドクターの手もあたたかい。
まさきもじゅんもさとしも…
みんなこの部屋に集まってきた。
「やっぱりアースノールに…」
「いやっ」
「ニノ…」
「絶対にいやっ」
僕は起き上がって翔の服を掴んだ。
「絶対に戻らない。戻るくらいなら死ぬっ…」
「ニノ…なにか思い出したのか…?」
「ちがう…ちがうっ…思い出してなんか…」
あの時の声が蘇る。
”…強姦するのも、乙だな”
”皆さんそうおっしゃいます”
”声一つ立てない、人形だな…”
「僕は人形じゃないっ…」
「ニノ!?」
ドクターの服を掴んだままベッドから起き上がった。
隣に立つ、じゅんの服を握った。
「僕は…人間になるの…人間だ…」
「ニノ…どうしたんだ」
じゅんは僕の手を握った。