黒子のバスケ:赤司征十郎 R18 キミはオレのもの
第14章 大切なキミ
赤「そんな時…キミと出会ったんだ…」
赤司征十郎は完璧な人間でなくてはならない。
父から常に勝者であれ、完璧であれと教えられてきた。
バスケという大切なものもあったが、それだけに打ち込む情熱を持つことは許されていなかった。
常に完璧である事、勝者で居続ける事の一つとして嗜む程度。
父からバスケを続ける事に対して出された条件だ。
赤司征十郎として赤司家に有益な役割を完璧に果たしたうえで、息抜きのためにバスケを続けることを許可するということだ。
だからこそ常に学年トップ、バスケ部主将として全国優勝をするのは当たり前。
昔からどんなに頑張っても父さんから賛辞の言葉は得られなかった。
トップになるのは当たり前の事。
それが出来ないようでは赤司征十郎という人間ではない。
幼少の頃は母からの愛でなんとかこの重圧に耐えていたが、無償の愛は永くは続かなかった。
彼女は若くして亡くなり、会話のない父との二人暮らし。
父との暮らしは、少しずつオレの心を蝕み、影を落としていった。
そんな…時だった。
赤「キミはオレに救われたと言っていたけれど、本当に救われたのはオレの方だったんだよ…」
絢はオレを変えてくれた。
彼女のことを考えるだけで心が安らいだ。
バスケ以外色が無かった生活を色鮮やかに塗り替え、人を愛する気持ちを教えてくれた。
今となっては彼女のいない生活など考えられない。
オレに安らぎをくれるのは彼女だけだ。
『何かおっしゃいましたか?』
つい声に出ていたらしい。
一人だけの世界から現実に脳を切り替える。
赤「いや、なんでもないよ。」
あと一つ挨拶を終わらせれば今日はもう自由だ。
絢にもう一度電話をして2人で夕食を食べよう。
絢の暖かい笑みを思い出し早く会いたいと思うのだった。