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黒子のバスケ:赤司征十郎 R18 キミはオレのもの

第14章 大切なキミ



赤「…出ない。」

赤司家と関わりがある取引先との会食を終えた後、絢に電話をかけてみた。
だが、電話先から聞こえたのはいつもの花のような声ではなく、留守番電話サービスに繋がる機械音。


赤「オレからの電話に出ないなんて…何をしているんだ…」


ここの所、取引先との食事や赤司家に関することで忙しい日々を送っていた。
絢と新年を過ごしたかったが、『赤司』という名がそれを許さない。
本当は、彼女がオレの愛する人だと父さんや関係者に伝えたいが、時期を見誤ると絢との仲を引き裂かれかねない。
オレと婚姻関係を結び、赤司家との繋がりを持ちたいと考えている人間も多い。
絢以外の相手と結婚など有り得ないが、彼女のためにも慎重にタイミングを計らなくては。

『お坊ちゃま、そろそろお時間です。』
赤「ああ、分かっているよ。…また後でかけなおすか」


早く絢の声が聴きたい。


上辺だけの会話、終わらない自慢話に媚びへつらう大人達。
自分がいる世界は酷く殺伐としていて、息が詰まる。

だがオレは赤司征十郎だ。

赤司征十郎ともあろう人間がこれくらいの事をこなせないなど在ってはならないことだし、オレ自身、この世界で渡り歩いていくだけの実力もあるつもりだ。
ゆくゆくは父をも超えて頂点に立つ人間だという自負もある。

それでも時折、自らが歩む道を疎ましく思うことがあった。
同年代の友人とは違う人生。
厳格な父との暮らし。
それらは確実にオレの精神的苦痛となっていた。



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