第7章 貴方の一番になりたい
顔に集まる熱。
褒められる事に慣れていないから、どうしていいかわからない。
「あ、あ...えと、ありがと...」
蚊の鳴くような声でそういったら、女友達二人に抱きしめられた。
「もう!本当可愛い!」
「え!?えええぇぇ!!」
突然の出来事に目をぐるぐるまわして、あたふたする。
「もっと自信持ちなよ!透ちゃんすっごく可愛いんだから!」
あいちゃんがそういって、さちちゃんが頷く。
嬉しい、嬉しいんだけど...。
「そう思うよね!?トッティ!」
ああ、もうさちちゃんたら確信をついて...。
きゅるんとした瞳と目が合い、心臓は爆発寸前。
「んー、僕はね...」
「「うん!うん!」」
トッティの言葉の続きを二人が頷きながらさいそくする。
耐えられない空気、耐えられない女友達二人のいい香り、頭がぐるんぐるんまわる。
「えーと...って!透ちゃん!!」
ぶしゅうと音でもたてたように私はショートした。
そのあとの記憶はあんまりない。
「もー、もっと素直になればいいのに!」
「ちょっと二人して僕の心を弄んでからかってるでしょ!?」
「違いますー!可愛い透ちゃんの応援してるだけ!」
「そうそう!私達二人とも透ちゃんの味方だもん!」
こんなふうにガールズトークしていた事を知るのはもう少し後のお話。
ー好きだから素直になれないものなんですー