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【おそ松さん】貴女と愉快な六つ子たち

第5章 君に愛ある手料理を



「私、子どもじゃないよ」

どこかむうっとして透ちゃんが僕を見上げる。
上目遣いのくりくりの目が本当に可愛い。

「うん、わかったわかった」

ふふっと笑いながら僕は透ちゃんの頭を撫でる。女の人として意識してたらきっとこんな事はできない、出会って間もないのに手のかかる妹みたいな可愛い子。

「絶対わかってないでしょ?」

膨らむ頬、どうやら無意識らしい。
本当に可愛いなぁ...。
への文字の口が逆になっているのが自分でもわかる。
妹ってこんな感じかな。
ただただ可愛い。

「あっ、そろそろ帰らないと」

透ちゃんの一言に僕は手を引っ込める。

「その、この間本当にありがとうございました」

ぺこりと律義に頭を下げるもんだから、思わず笑ってしまう。そんなの本当にいいのになって...。
その後に少し沈黙が流れる、相変わらず言葉の後に下を向いてる透ちゃん。

すうっと空気を吸い込む音が聞こえた後、バッと頭を上げる。

「えと、その、また、また...」

何故か顔を真っ赤にしてまたを繰り返す。
かちこち柱時計の音と「また」という1音が面白いぐらい重なる。

「なんでもないです」

それが数回重なった後、しゅんと肩を下げだす。
そそくさと戸口に手をかける、何を言いたいのかわからないまま去って行く後ろ姿に一つ声をかける。

「待って、送ってくよ」

ピタリと止まる動き。
ぎぎぎと音でもなりそうなぐらいゆっくりゆっくりこちらを向く。右往左往する目、相変わらず頬が赤い気がする。

「あっ、迷惑?」

普通にそう聞いてみればぶんぶんと首をふって、戸口をあける。

「おじゃま、しました」

小さな声でそう言って戸口を閉める、二人で群青とオレンジに染まった道を歩き出す。
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