第4章 君が乞われてしまう前に
「なんでいんの」
ニートと廃人とリストラされたサラリーマンの聖地にポツンと赤みがかった茶色。
ブラブラとブランコに揺られ、どこへ行ったらいいかわからない子どもみたいな顔してた。
...気まずい。
「...居ちゃ、悪いの?」
「...別に」
がしゃんと何となく隣に座って、また沈黙。
二人きりとかあんまりなった事ない。
「大凶だね、オレに会うなんて」
とりあえずいつものように、自分への皮肉を漏らす。そしたら返ってきた答えが予想外。
「そんなことない、謝りたかったし」
「...はぁ?」
あんまりな出来事だったからつい一言それだけが口から吐き出される。
確実に悪い事したのはオレの方なのに謝るとか意味がわからない。
綺麗な秋空に全く合わない会話がスタート。
「その、気分を害するような事を」
ギイっと音がしてブランコが揺れる。
軋む音が耳障り。
「謝られるとか逆に意味わかんないんだけど、なにそれ?わからないのに謝ってんの?自己満足?」
ひどい事を言っている自覚はある。
でもそれが妙にムカついて...。
「そんなつもり...」
「だったら何?謝っておいたらいいと思ってんの?自分が謝っといたら...それで?」
言いかけて止めた。
声が涙声が聞こえたから。
「な...んで、なんで、いち...まつく...ぞんなごど...いうの...?」
冷たい風、夏が終わってすぐのせいかよけいに冷たく感じる。
「...嫌いだから」
ぶつりと彼女さんの心をぶった斬るように、一言を発する。
謝るのもこの関係を修復したいからなんて、全部わかってる。でも...。
「あんたの、あんたのさ...。そういう所が嫌い」
がしゃんとブランコを降りて、彼女の十四松の大切な人の目の前に立つ。
「そ...いう?」
顔を上げれば目がバッチリと合う。
これだけ言ってもわからないなんて、本当に馬鹿なんだろうか。