第4章 君が乞われてしまう前に
「...買ってきたの?」
湯のみで紅茶を作る彼女さんに、ボソリと呟く。
「うん、十四松くんここのケーキ大好きだから」
ニコニコ笑って、本当こんなゴミに笑いかけるとかよく出来た彼女さんだよね。
「へー?わざわざ?」
「うん、わざわざ買ってきた!」
「なんで?」
コトンと目の前におかれた湯のみ、いつもはお茶だけどケーキに合わせて今日は紅茶。ティーパックの入った湯のみは用途がちぐはぐで違和感しかない。
「十四松くんに喜んでほしかったから」
「へー、優しいね」
ひひって笑ってティーパックをゆらゆらと揺らす。
付き合ってどれくらい経つのかわかんないけど、もう結構たってる。たまに常人とかけ離れた思考の十四松と話が合うんだろうかとかも想うんだけど、どうやらお互いに趣味は合うらしい。
「ねぇ?」
「なに?一松くん?」
「...別に?なんでも?」
ずずっと紅茶を飲んで、じーっと彼女さんを見る。
「オレの分があるのは?」
「あぁ、十四松くんに連絡したら一松くんも居るって聞いたから」
....前々から思ってた事だけど、オレはこの彼女さんが嫌い。
どこが?
いや、よく出来た所とか変に気を使う所とか...。
後は...。
「ケェェーーーキイィィ!!」
「はいはい、わかったから。ちゃんと手は洗って来た?」
「バッチリーグ!」
「ん!なら食べようか!」
リア充の真ん中にいるからひがんでるって誰しも思うかもしんないけど、事はそんなに単純ではない。