第3章 疲れた時は、側にいて?
「カーラーまーつぅぅー」
俺の背中でクールビューティ(いつもは)なハニーが酔っ払って暴れている。
「透?ちょっと飲み過ぎなんじゃないか?」
どうやら仕事でちょっとしたミスをしてしまったらしく、やけくそでお酒をかっくらったようだ。
家にかかってきた電話から、美しいヴィーナスが酔っ払って一升瓶片手にポーズをとっているかの如く姿が目に浮かんできた。
その為にすっ飛んで来たんだが、正直いつもの透らしくない。
「きーいーてーよー!わたしらっれー!そんらーかんへきじゃないっつーーーのおおぉぉ!!にんれんロボットじゃないっふーのぉー!あの禿頭オヤジーー!」
バッシンバッシンと背中を叩かれて、俺の背は今熱く燃えたぎっている!(要するにクソ痛いということ)
透は仕事のできるキャリアウーマンという奴なのだが、実際はただの頑張り屋さんなだけだ。
そのせいで、色んな仕事を押し付けられキャリアウーマンだなんてレッテルを貼られてしまったらしく、本人も後にはひけなくなり無理をしている。
「全く、透の何処が完璧だって?ふっ、本当はこんなふうに甘やかされるのが好きなんだろー?んー?」
「ひっくぅ!わたしわぁー本当は、本当は...ねー...ふぅっ...」
俺の背を叩いていた手が止まる。
「透、頑張りすぎたんだな?いいんだぞ?たまには甘えたって?」
「でもー」
「ふっ、ならせめて俺の前では甘えればいいさ?そうだろ?ハニー?」
俺の一言に黙り込む。
かわりにぎゅうっと首に回り込んでくる腕。
「透、今夜は一緒に寝よう。君が眠るまで俺は子守唄を...」
そう言おうとしたがやめた。
小さな可愛らしい寝息が耳元をくすぐる。
「おやすみハニー、いい夢を...」
ー月夜を歩くは酔っ払いとナイトー