第7章 貴方の一番になりたい
「ほら、そろそろ行かなくちゃ」
グイッと涙を拭きながらそう言ってくれたのはトドにぃだ。
タクシーは呼んでおいたからと笑った顔は、目の下が赤くなってた。
玄関先まで3人に見送られ、ふと思う。
「そういえば、カラ松にぃは?」
いつもなら飛んできてマイシスターと花束でも持ち出してきてくれそうな2番目の兄。
「あっ...えーと...」
気まずそうにお互いを見つめるチョロにぃとトドにぃ、眉をさげる十四松にぃ。
なんとなく予想がついて、本当に困ったさんだと思わず笑ってしまう。
カラ松にぃはとっても優しい、だから...。
「ありがとう」
今日はもうその言葉しか出なくて、冷たい風がタクシーの中へと私を急かす。
「...気をつけて」
そう言ったのはチョロにぃだろうか、3人の兄達は笑って私を見送った。
けれど長年共に過ごしてきた兄弟だからこそ、わかってしまう。
「みんな、大袈裟だな...」
私が行ったあとにまた泣いてしまうだろうだなんて、そんな事わかるよ。
景色が目まぐるしく変わる車内で、私は涙がでそうになるのをぐっとこらえた。