第7章 貴方の一番になりたい
「あーー!!」
おっきい声がま後ろから聞こえてくるっとそちらを向けば、ぷくっと頬を膨らませこちらを睨むトドにぃ。
「透ったら!またこんなに寝癖つけて!今日は大切な日でしょ?ほら!座った座った!」
側にあった座布団に有無を言わさず座らされる。
「もう!女の子なんだからちゃんとしなさいっていつも言ってるよね?」
手際よく私の長い髪を整えていくトドにぃ、毎朝こうやって髪を綺麗にしてくれるのはトドにぃの役目。
それは幼稚園くらいからか、いつかわからないけどもうずっと続いている。
1度小さい時自分で髪をまとめようとした事があったけど、それをやるとトドにぃは1日むくれて話してくれなかった事があった。
...懐かしい。
「ごめんね?トドにぃがいるから大丈夫って思っちゃって、つい油断しちゃうんだ」
にこって笑ってそういったら、すびずびと真後ろから鼻水をすする音。
「大丈夫、大丈夫だよ!あれだもん、透のお婿さんはあつしくんだもん!だから...」
そんな事をいいながら必死に鼻をすすって、でも私の寝癖はいつもどおり綺麗になおっていく。
もうこうやってトドにぃに可愛くして貰えることもなくなるんだ。
私よりもずっとずっと女子力が高くて、なんだかんだで身の回りのお世話をよくやいてくれたトドにぃ。
私トドにぃがいたから、おしゃれに目覚めたりしたんだよ?
男兄弟の中で、窮屈な思いをしなかったのはきっとトドにぃのおかげだね?
そんな事を思いながらくるりと後ろを向けば、トドにぃは目を赤くしていた。
「ありがとうトドにぃ」
「透、絶対大丈夫だからね?」
すびっとまた鼻水をすすってトドにぃは私に笑ってくれた。