第7章 貴方の一番になりたい
「で、こうなったわけ」
真っ白い病室のベットで、足の包帯を見つめる。
全治3ヶ月、見事なまでに骨を折った。
「でも、死ななくてもよかったよな!チョロシコスキー!」
「黙れ!クソ長男!」
手をたたきながら大笑いする長男、その横で何故かちょっと嬉しそうに梨を剥く透ちゃん。
いや、梨を剥いてるというよりもどっちが梨本体で皮かわからないんだけども...。
「ところでさ?なんで透ちゃんそんなに上機嫌なの?」
きゅっきゅっとペンで僕のギブスに何かを書きながら、質問しはじめる。
それ僕も気になってた。
「え?そう見える?そっかなー?へっへっへ」
女の子でへっへっへはないでしょ。
へっへっへは...。
「って、何書いてんだ!クソ長男!」
「え?チョロシコスキーって?」
こいつ!しかもこれ油性じゃん!
僕の大変な時なのに、透ちゃんは何故かずっとにやにやしてるし。
全く彼氏が骨おったってのに、呑気なもんだよね。
おかげで僕は3ヶ月はライブにいけないし、ポテンシャルダウンのせいでにゃーちゃんの曲聴く元気もないし散々なのにさ。
「なー、梨まだー?」
「後もうちょっ...あっ!」
ざっくりと指をいっちゃったらしく、透ちゃんの白い指から赤い血が流れる。
本当、色んな意味で不器用すぎるよ本当さ。
「うわっ大変じゃん、大丈夫?」
すかさずきった方の手を掴む、長男。
そしてその手を、んー?んんん?
「おいまてクソ長男!何する気だ!」
「え?何って?消毒?」
ぺろっと舌を出して、にやっと笑う。
こいつ、こいつ!
「ちょうなーん!長男こらぁぁい!触んな!」
「えー、でもハタ坊から聴いたよ?透ちゃんに寂しい思いさせてんでしょ?」
にっししって笑って、マジムカつく。
その事僕だって結構反省してんのに、なんで傷口に塩を塗るかな?塗りたくんのかなこの馬鹿は!
「うっさい!黙れ!そしてその手を離せ!透ちゃんは僕の彼女だ!...あ」
しまった、ついいきおいで言っちゃった。
ちらっと透ちゃんを見れば、頬を赤くしてはずかしそうにはにかんでる。
可愛すぎじゃない!それ反則じゃない!?