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【おそ松さん】貴女と愉快な六つ子たち

第7章 貴方の一番になりたい



殴られた。
ジンジンと痛む頬、鼻水までたらして泣くのは僕の彼女。

待ってと引き止める前に家を出て行ってしまった。

「な、なんだよ...僕がオタクでもいいって言ったくせに...」

真っ二つになったCDをぼんやりと眺めてたら、玄関がピンポーンと鳴った。

戻って来てくれた!
そう瞬間的に思って駆け出し、戸口を勢いよくあければ旗がはためいてた。

「じょー!久しぶりだじょ!」

両手をパタパタ動かしながら笑うミスターフラッグ。
がっくしと肩を落とす。

「やぁ、ハタ坊...元気?」

「ハタ坊はとっても元気だじょ!ところで、透ちゃんからのプレゼントは受け取ったじょ?」

プレゼントって言葉にピンときて、居間の方に目をやる。たしかにプレゼントは貰えた、真っ二つだけどとも言えず。

「貰ったよ」

「よかったじょ!透ちゃん頑張って探してたからハタ坊心配だったんだじょ!」

「...え?」

僕に嫌がらせする為にわざわざ買ってきたんじゃなかったんだ、と思えばじわりと手に汗が滲んだ。

「透ちゃん言ってたじょ!付き合って1周年記念日だから、絶対喜ぶものをあげたいんだって!それをきいてハタ坊が手伝ったんだじょ!それまでずっと一人で探してたみたいだったから!」

「あ....え....?」

言葉が出なかった。
そう言えば透ちゃんと付き合って1年が過ぎてたと思い出す。

ここ最近ずっと仕事だの忙しいだのと言って、僕と全然会ってくれてなかった。
じゃあ僕も自分の事に専念しなきゃとか、そんな勝手な事を思って自分の世界に引きこもってた。

「...どうしたじょ?」

じっと僕を見つめるハタ坊、その目は何を考えてるのかよくわからなかったけれど...。

「ハタ坊は透ちゃんが一生懸命だったから手伝ったじょ?いっぱいお礼も言ってくれたじょ?それ全部...」

「ありがとう、ハタ坊」

僕は...情けない。
こんな情けない僕の側に、透ちゃんはいてくれたんだ。

ぎゅっと拳をつくる。

「いいんだじょ、友達が幸せならハタ坊も幸せだじょ!でも透ちゃんを泣かせたら...」

怖い怖い!何その笑わない目!
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