第13章 独占欲×独占欲
しかし。
「お昼時でどこも混んでるわね…」
近場で目の留まった店はどこも客が並んでいて全滅。時間帯が悪すぎた。
どこか彼とゆっくり話せる場所…うーん、うーん。
悩んでいると、チョロ松くんが助け船を出してくれた。
「仕方ない、ちょっと落ち着かないかもしれないけど、駅前の噴水広場に行かない?話すだけなら、座る場所もあるしさ」
「…そうね。うん、賛成」
平日のせいか、広場にはあまり人はいなかった。よかった、これなら話しやすそう。
二人で噴水の側に腰掛ける。
「さっそくなんだけど、チョロ松くん」
「ああ、呼び捨てでいいよ。くん付けされると昔を思い出して、少し恥ずかしいんだ」
「…じゃあ、チョロ松。あなたって本当はどんな人なの?」
定まらない、彼の本性。私はそれを暴いてやりたくて、躊躇わずに尋ねた。
突拍子もない質問にも関わらず、彼は驚かない。予想通りだったとでも言うのかしら。
やがて、彼が口を開く。
「どんな人、か。君はきっと、僕を怖がってるんだよね。再会したばかりの時やついさっきの…正直ドン引きだったんじゃない?」
…否定は、できなかった。
警戒こそしていたけれど、最初は穏やかで優しそうな人だと思っていた。でも、
あの、人を蔑むような絶対零度の冷たい眼差し…怖くて一瞬でも足がすくんだのは事実だ。
けど今は違う。すぐ隣にいるのに、恐ろしさや緊張感は全くない。だからこそ余計に混乱してしまうのだ。
「ドン引きというか…今までにないタイプだったから戸惑ったのは確かよ。…あ、もしかして二重人格ってやつ?」
「あはは、ちょっと違うかな。…僕、変わりたいんだよね」
「変わりたい?」