第13章 独占欲×独占欲
チョロ松くんの謎の熱血指導…ならぬ、冷血(?)指導が終わり、男たちは皆散り散りになって帰っていった。
そして私もそれに紛れるように退散…
ガシッ「ちゃん?」Σ「ひゃっ!」
背を向けたところで肩を掴まれる。退散できなかった!
「久しぶりだね。なんでこんなところにいるの?」
「あ…た、たまたま通りがかって…」
彼の醸し出す雰囲気は相変わらず苦手だ。特にさっきのイライラがまだ残っているのか、私を見る目が異様に冷たいし!
「今の…見てたよね?」Σ「な、なんのことかしら…」「ああ、とぼけなくていいよ。見てただろ?」「ハ、ハイ」
その冷たい眼差しに射抜かれて、背筋に緊張が走る。私に非はないはずなのに、なんでこんなに責められてるの…?!
「…君、この後何か予定はある?」
「え」
張り詰めた空気が和らいでいく。急な変化に首を傾げると、彼は小さくため息をついた。
「悪かったよ、ごめん。君に八つ当たりするつもりはないんだ。せっかく会えたんだし、少し話したいなと思ってさ。無理にとは言わないけど…」
ばつが悪そうに私から目を逸らして、頬を僅かに紅く染める彼。
…あ。チョロ松くん、こんな顔もするのね。
さっきのスパルタっぷりの後だから別人のように思えるけど…単なるドS暴君ってわけじゃなさそうだわ。
昨日の一松や十四松のこともあるし、私は現在の6つ子に関しては知らないことだらけ。
これもいい機会だわ。彼との距離も縮める努力をしてみよう。
「私も、あなたとちゃんと話してみたいわ。そうね…カフェにでも入る?」
「!あ、ああ…うん」