第12章 にゃんことわんこ
「、一松兄さん!」
「なに…って、わぁ!?」
頭と両肩に子猫を乗っけた十四松くんが、私と一松くんの間に割って入ってくる。
「立ったままだと疲れるでしょ?座って話そうよ!」
「あ…うん。そうね」
3人で土管の上に腰掛け、思い思いに子猫と触れ合う。
デートだなんて言うから何事かと思ったけど…これは嬉しい誤算だったな。
「十四松くんも猫好きなの?」
「十四松でいいよ!僕はね、なんでも好き!」
「…お前どっちかっつーと犬派だよな」Σ「!ね、猫も好きッスよ!」「ふーん…そのわりには目が泳いではりまんなぁ、十四松はん」「あんれまー、一松はんは鋭いでんなぁ」
私を間に挟んで謎の漫才をし始める二人が面白くて、つい吹き出してしまう。
「ふふっ、なにそれ…仲いいなぁ、もう」
「「!!///」」
口元に手を当ててくすくす笑うと、二人は漫才をやめて私の顔をじっと見つめてきた。
「…え、な、なに?」
右には無邪気な笑顔の十四松、左には半目で気だるげな表情の一松。
かつては見分けが全くつかなかったはずの二人。距離が近いとはいえ、大人になったらこんなにも違いが出てくるなんてな…
いや、それよりも!
「ち、近いよ二人とも。顔も赤いし…」
「…いや、だって…」
「、再会してから初めて笑ってくれたよね!」
「…え?あ」
そういえば。
「…ねぇ。もう怒ってないの?」
一松が少し不安そうに尋ねてくる。
どう…なんだろう。私は彼らを許したのかな?
でも、なぜか今回は、二人をバズーカで消し炭にしよう、とか、隙を見て逃げ出そう、なんて思わなかった。
それってやっぱり、私の心境に変化があったってわけよね。
昨日のアレはさておき、今のところ二人からは危険は感じないし…
このまま何もなければ、二人だけでも許していいかもしれない。