第12章 にゃんことわんこ
着いた先は、なんと。
「あ、空き地…?」
住宅街から離れた寂れた場所。どこにでもある普通の空き地だった。
「見て見て!この土管の中!」
十四松くんが指差したのは、空き地の左端に陣取っている大きな土管。人も入れそうなサイズだ。
「この中に何かあるの?」「うん!覗いてごらん」
半信半疑で土管の中を覗き込むと…
「にゃ〜にゃ〜」
Σ!!?ね、猫がいる!!
数にして5、6匹かな?小さな子猫が中で気持ち良さそうに寛いでいたのだ。
「か、かか、かわいい〜…!///」「でしょーっ?ここ見つけたの一松兄さんなんだよ!」「え?」
一松くんが?
「…何その顔。猫好きだけど文句ある?」「あ、いえ…」
そうなんだ、一松くん猫が好きなのか。
……は!!
「もっ、もしかしてあまりにも猫が好きすぎるために突然変異を起こして猫人間に…!?」「言うと思った」
彼はため息をつき、腰を屈めて土管の中に手を入れ、一匹の子猫を持ち上げた。
「猫人間の話はとりあえず忘れなよ。…俺はただ、他人よりこいつらの方が一緒にいて楽なだけ」
「…友達いないの?」「ちょ、おま、はっきり」「あはは!シリアスクラッシャーだね!」
本当に変わったなぁ、みんな。
昔は、一松くん猫好きってわけじゃなかったし。十四松くんなんて180度違うよね、性格。
「一松兄さんはね、毎日野良猫の世話してるんだよ!」
十四松くんが2、3匹の子猫を私に抱かせてくれる。…ああ、可愛い…///
「猫って、ここの?」
「…ここは家から遠いから、たまにだけ。近所の路地裏とかが野良猫の集会所みたいになってて、大体そこで餌やりしてる」
「ふぅん、そうなんだ。優しいのね」
「…は!?///」
「動物の世話をするのって、優しい人が多いと思うから」
あれ、一松くん顔真っ赤にして固まってる。褒められることに弱いのかしら?