第11章 長男様には敵わない※
「じゃあセッ「蹴るわよ」なんで?!」
はぁ、やっぱり。こいつの頭にはそれしかないのかしら。
「いくらなんでも限度ってものがあるわ。付き合ってもいないのに調子に乗りすぎよ」「えー…」
あからさまに残念そうな声を出すな!全くもう!
…でも。
「そ、それ以下なら…」
「へ?」
「///…き、キス、くらいまでなら…ゆ、許す……」
「…マジで?」「ま、マジ…」
熱い…顔だけじゃなく、全身が。
何気にとんでもないこと言ってるわよね、私…!キスならいいって…!
っていうかしたことないのに軽々しく言い過ぎ!どうしよう、やっぱりほっぺにチュー程度に留めておいたほうが…!?
「、いいの?俺本気でするよ?ふざけないよ?」
「!///あ、えっと…」
一応…待ってくれてるんだ。そう優しくされると余計に…
「……いい、よ」
だめ、なんて…言えなくなる。
「…っ///」
…彼の顔が近付いてくる。
唇が触れ合う直前、一瞬だけ躊躇う様子を見せたけれど…
私が瞼を閉じると、間もなくして唇に柔らかい感触が降りてきた。
ファーストキスの相手が、おそ松くんだなんて…幼い頃の私は、夢にも思わなかっただろうな。
唇を重ね合わせること、ほんの数秒。彼はゆっくりと離れていった。
あ…もう終わりなんだ…。
ただくっつけるだけの、初々しいファーストキス。あまりにも短い時間だったために、ちょっぴり切なさが滲んだ。
でもこれで、お礼にはなったんだよね。
なのに、彼はまだ私を解放しようとしない。
「あの…おそ松くん?」
「…足りねぇ」
「え?」
「ごめんな、先に謝っとく。…全然足りねぇわ」
「な、なんのこ……んっ!」
…それは、一瞬だった。
彼は私の後頭部を手で押さえると、もう一度唇を重ねてきたのだ。
でもそれは、さっきのような初々しいものとは程遠い…
「…んん…っ…お、そ…っ」
息をつく間もないくらい、激しい口付け。