第11章 長男様には敵わない※
バイトからの帰り道。力のない足取りでとぼとぼと街中を歩く。
なんだか今日はお客さんが多くてどっと疲れた…コンビニのバイトと言えど侮れん…
ボッシュートの件から数日。あれから6つ子には会っていない。
この世界の構造上、とっくに生き返ってるはずなんだけど…なんの音沙汰もないのは反って不気味ね。
素直に諦めたとも思えないし、また何か企んでるとしか…
「ねぇねぇ、そこのお姉さん♪」
「!」
突然後ろから声をかけられ振り向くと、同い年くらいの3人の男性がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら私を見ていた。
「随分疲れてるみたいだけど、よかったら俺らと一緒にどっか遊びに行かない?息抜きしようよ」
うっわ…最悪、こういう時に限ってナンパ?
イケメン揃いだけど、おあいにくさま。私は赤の他人に誘われてホイホイついていくほど、バカな女じゃないわよ。
「いえ、結構。無用なお気遣いです。私本気で疲れてるんで。それじゃ」
ビシッと言い放ち、方向転換する。付き合っていられない。
「えー?そんなこと言わずにさぁ」
はい、しつこい。うざったいったらありゃしない。
「ついてこないでいただけますか」
「警戒してる?なんもしないよー?」
嘘つけ、絶対するだろ。
「ねぇ、待ってって」
男のうちの1人が、手を伸ばして私の肩を掴んだ。
…ブチッ
「…最終勧告よ。この手を離して、即刻失せなさい。今なら見逃してあげるわ」
「おいおい、まさかの強気かよ」
「いいねぇ。俺そういう子タイプ」
こいつら…!私を嘗めてるわね!
「だったらさっさと死ね、このアホ男ども!!!」ドゴッ!Σ「ぐおッ!?」
怒りが爆発した私は、肩を掴んでいた男の鳩尾にボディーブローを食らわせ、よろめいたところにすかさず追撃で回し蹴りをお見舞いした。
Σ「ごふっ!!…………」ちーん「お、おい!」「しっかりしろ!」
地面に突っ伏し、口から魂が抜け出ている男の元に、他の2人が駆け寄る。これで十分でしょ。
「女だからって嘗めないことね。さっさとそいつ、病院にでも連れていけば?じゃあね」
ああ、久々にスカッとした。もう少し手応えが欲しかったくらいだわ。