第11章 長男様には敵わない※
私は生まれてこの方、恋愛というものをしたことがない。
6つ子のみんなは大好きだった。でもそれは多分、初恋ってわけじゃなかったと思う。
恋をすること自体に興味がないわけではないけど、恋をするに値する男に出会わなかった、それだけ。
…と言うと上から目線で感じが悪いわね。要は、好きだと思った人がこれまでの人生で1人もいなかったってこと。
本当は、少し…ほんの少しだけ、期待していたの。
幼なじみとの十数年ぶりの再会。よくある恋愛ドラマや少女マンガだったら、相手の男性はイケメンになっていてまさかのプレイボーイで…なんて展開がザラじゃない?
あの悪童たちに限ってそれはない、と頭では分かってたんだけど、
人間って不思議ね。どうにも自分の都合のいい展開を望んでしまう。
もしかしたら、イケメンで王子様のように心優しい男性に成長しているかも、とか、ロマンティックなラブストーリーが繰り広げられたりして…とか。
一応、私も乙女な部分はありますから。復讐90%期待10%くらいの心意気で里帰りしたわけですよ。
結果は…悪童が悪魔にグレードアップしただけだったわ。あと全員もれなくド変態。イケメンと恋愛?儚い夢だったわね…。
現実なんてこんなもんよ!…まぁ、ちょっとだけ、ドキドキは、したけど…く、クズであることに変わりはないんだから!
………はぁ。
「人生って、うまくいかない…」
「何か言いました?」
「ハゲ店長は黙っててください」「ハゲ店長!?」
今日はなんだか、仕事に身が入らないな…