第9章 松野トド松という男
こ、このままじゃ…!
なーんてね♪
「はーい、トド松くん。これはなんでしょう??」「へ」
私は服のポケットからあるものを取り出し、それを彼の目の前に突き付けた。
「え…えぇぇッ!?僕のスマホ?!いつの間にぃ!!」
「私の手癖の悪さは、何も暴力に関してのみじゃないのよ。あなたが私に跨がっている間に拝借させてもらったわ」
彼はファミレスに向かう途中や待ち時間、私と話しながらも常にスマホを手放さなかった。それはつまり、よほど大切なものだという証。
体のいい人質が手に入ったわ、ふふふ。
「ちょ、返して!」「ほら」
私はスマホを部屋の隅に向かって放り投げた。
Σ「あぁぁぁッ!?何してんのぉぉぉ!!」
傷がつくことがよほど耐えられないのか、彼は叫びながら迷いなくベッドから下り、一直線にスマホに駆け寄る。
さて、トドメといこうか。
「うーわー、ひどいよちゃん!角が少し欠けて「トド松くーん♪」…え?」
部屋の入り口まで移動した私は、太ももにベルトで固定してあった箱形の装置を取り外し、彼に見えるように掲げた。
「次!これはなんでしょう?」
蓋を開き、中の赤いスイッチを見せびらかす。…トド松くんの顔が真っ青になった。
「え…と…な、何かの、スイッチだ…よね…?」
「そう!」
「な、なんの…?」
「波動砲の♪」
「………へ?」
「ここだけの話、実はあの波動砲、自爆装置が備わってるの。これを押せば、発せられる電波を感知してもれなく爆発、つまり
松野家が吹っ飛びます☆」
Σ「!!?」
「いーのかなー?家なくなっちゃってもいーのかなー?まぁその反応だと、出会い頭あなたが言っていたことは本当だったみたいだし?家族が巻き添えになることはないけど、ホームレスになっちゃうわね♪」
トド松くんはガクガクと震えながら、涙目で私を見つめている。
「と、いうわけで!スイッチ押されたくなかったら、ロープで縛る間大人しくしててね。大丈夫、痛くしないから〜♪」Σ「ヒィィィィッ!!!」
本当に油断したのはあなたの方だったわね、トド松くん?