第9章 松野トド松という男
「…心配?」
「このままあんなバカ兄貴どもとつるんでたら、君までおかしくなっちゃう。そんなのダメだよ。僕は、昔みたいにちょっぴり気弱で心優しくて可愛いちゃんに戻ってほしいだけなんだ。そのためならいくらでも君の味方になるし、協力は惜しまないよ」
澄んだ瞳で実の兄弟を罵倒してるよ…やだ今までで一番怖いわこいつ。
ただ、相変わらず嘘を言っているようには見えない。…騙されたと思って折れてやるか。
「その言葉、とりあえず信じるわよ。じゃあこれ置いてきてもらえる?」
「うんっ」
私から波動砲を受け取り、駆け足で家に入っていくトド松くん。その背中を、私はじっと睨んでいた。
お茶しに行こう、ね…本当にただ、それだけかしら。
少しでも不審な素振りを見せたら、場所がどこであれ容赦はしないわ!