第8章 松野十四松という男
私は景品にあまり興味はないんだけど…彼の笑顔が眩しくて、なんだか断り辛いな。
「じゃあ、今日の記念に何か1つ。それだけでいいよ」
「え?もう帰るのー?」
むしろまだやるんですか…!
「十分楽しめたから、そろそろ…ね?」「そっかー…じゃあハイ!これ!」「うん?」
彼から手渡されたのは、小鳥の形をした水笛だった。
「え、これ…遊技場の景品にあったっけ?」
「ううん、僕がこっそり買ったんだよ!えっと…///君が可愛いの好きそうだと思ったから!」
「!!///」
て、天使…!ここに天使がおる!!
お、おかしいな、6つ子は全員悪魔だったはず!なんだこのけしからんエンジェルは!可愛い!合格!
「あ、ありがとう…///」
「!うんっ」にぱっ
Σぐっは!!(吐血)
十四松くんに関してはかつての所業全部許せるかも…完全にほだされました、ええ。
「そうだ!社の方に行こうよ!」
「う、うん」
自然と彼に手を引かれ、二人で社に向かう。
もう夕方だから早く帰りたいんだけど…天使のお願いなら仕方がないね!
社の周囲には誰もいない。静かで落ち着く…
「…ちゃん!」Σ「は、はい!?」
いきなり大声で名前を呼ばれ、体が跳び跳ねる。今度はなんだ?!
「///ぼ、僕…
僕、ちゃんのこと大好き!…兄さんたちよりも、トド松よりも、大好きで大好きで仕方ないんだ」
「…十四松くん…」
「だから、あの…その…うー…///」
可愛いなぁ、十四松くん。やっぱり天使…
「今から一緒に、ラブホまでオナシャスッ!!!」
………
天使
じゃ
な
か
っ
た
…!!!
「…十四松くん?」ゴゴゴゴゴ
「え…っ!」
「よく聞こえなかったわ。もう一度言ってくれる?」ゴゴゴゴゴ
「…あ…えと…ラ「う゛ん??」ラ、ラ…ラーメン食べに行きたいッス…」
「それならいいわよ♪」ニッコリ「…お、恐ろしいでんがな〜…っ」
結論。悪魔は天使になり得ない。