第8章 松野十四松という男
「せ、せっかくのお誘いだけど遠慮します…私まだ仕事終わらないし」
「サボればー?」
笑顔で何ほざいてんのこの子!学校じゃないんだよ!いや学校もサボっちゃだめだけど!
「イヨイショー!」「!?」
突然彼がカウンターを飛び越えてレジの内側に入ってきた。
そして、
ガシッ「へ?」
驚きのあまり対応が出遅れた私の体を両腕で持ち上げ…いわゆるお姫様だっこをされる。
「…え!?じゅ、じゅうしま「しっかり掴まっててね!」はい?!」
い、嫌な予感が…!
「ワッホォーーーーーイッ!!ドゥーーーーーンッ!!!」「ぎゃーーーーッ!!?」バビューンッガシャンッパリィィンッ
コンビニのドアを体当たりで突き破り、人外の速度で街を駆け抜ける十四松くん。
…と、そんな彼に抱えられながら白目を向いて今にも天に召されそうな私。
…これが私の経験した、人生初の誘拐でした…。