第7章 松野一松という男
切羽詰まった様子の彼に言葉を遮られる。どうしたんだろう?
「…お前、それ本気で言ってんの?」
「え、うん…百万歩譲って平和的解決策を見出だそうかと」
「復讐は?」
「それはもう終わってるから。初日に爆破されたでしょ?」
「報復は?!」
「ああ、うん…どうでもよくなっちゃった。キリないし、バズーカも維持費がかかるからね…って、一松くん?」
なぜか彼は顔面蒼白で、次第にわなわなと震え出した。まるでこの世の終わりが来たかのような絶望を瞳に宿している。
「ど、どうしたの?」
「……んでだよ……」
「え?ごめん、聞こえな
「楽しみにしてたのに、なんで俺には何もしねぇんだよッ!クズで燃えないゴミの俺には放置プレイがお似合いですってか?!確かにそれも好みだけどなんか他にもっとあるだろオラッ!バズーカで撃てよ回し蹴りしろよハンマーでぶっ叩けよぉぉぉッ!!!!」
ゼーッハーッゼーッハーッ
「………え、えぇっと」
あまりの剣幕に気圧されそうになったけど…
一松くんって実は
ドSじゃなくて
まさかの
ドM……!!?
「……はっ!///」
しばらくして我に返った一松くんの顔が、急速に真っ赤に染め上げられていく。
「ち、違う!///今のは本音だけど本音じゃ…うわぁぁぁぁっ!!///」
ボンッΣ「きゃ!?」
「シャーーーッ!!」タンッ
…一瞬だった。彼は再び猫人間になると(あの言葉は本当だったらしい)、威嚇しながら物凄いスピードで窓から外に逃げていってしまった。
「…………」
…とりあえず、割れた窓ガラス、片付けよう…