第7章 松野一松という男
「なっ?!///」
こ、こいつ…!なんて人の揚げ足を取るのがうまいのよ!
「だってそうだろ?あんたは俺に耳元で囁かれて、顔真っ赤にして心臓暴れさせてる。…つまり¨そういうこと¨だよなぁ?」
「ちっ、ちが…!」
「いい加減諦めて認めなよ。…あんたはどうせ俺たちから逃れられない。俺たちは全員あんたが好きだし、あんたも俺たちが好き。ほら…なんの問題もない」
…っ彼の言う通りだ。
昨日改めて気付いてしまった。私は6つ子のみんなを好きなまま、大人になってしまっていたことに。
大嫌いだから復讐した。でもその感情の裏には、
¨大好きだからまた会いたい¨
そんな気持ちもあったんだ。
敵わない…結局私は昔も今も、彼らには到底及ばない女なんだ…
黙り込んでしまった私の頬に、彼がそっと手を添える。
「ヒヒッ…ご愁傷様。俺みたいなゴミに好かれたのが運の尽きだよ」
その台詞が、私にトドメを刺した。
もう、反論する気も起こらない…復讐?報復?どうでもいいや。
だったら、私は…
「…一松くん」
「ん…何」
「私たち、関係を一からやり直せないかな」
「………は?」
よほど意外だったのか、これまで常に優位に立っていた彼から間抜けな声が出る。
しかし私は構わず続けた。
「私たち、一応幼なじみでしょ?でもみんなに虐められてばかりで、お互い仲が良かったとはお世辞にも言いにくい…」
「…ちょ、ちょっと待って」
「だから、これからはちゃんと幼なじみらしい関係をみんなと築いていきたいの。思い出を辛いものから楽しいものに塗り替えれば、きっと私たちうまくやっていけるとおも「待てってば!」…え?」