第6章 松野チョロ松という男
じわりと涙が滲む。
私は、やっぱり…
「まだみんなのこと大好きだと思ってるなんて…認めたくない!」
「…!!」
チョロ松くんの目が驚きで大きく見開かれ、同時に胸ぐらを掴む力が緩んだ。
…今だ!
「せぃッ!」ドカッΣ「ぅぐっ!?」
腹部に必殺のパンチをくらわせ、彼がよろけたところでその体をガシッと掴む。
「…ぇ、え?」
そして…
「やぁぁーーーッ!!」ブンッ
ダァァァァンッ!!「ボェバァッ!!!(3回目)」
これまた必殺の背負い投げであっさりKO勝ち。私を嘗めるからこうなるのよ!
「…ふ、ふふふ…」
「!?」
気絶したはずの彼から笑い声が聞こえてくる。ま、まさかこいつ、まだ…!
「…懲りないよね、君も…僕だけ倒しても、意味はないんだって」
「な…っ!」
しまった、周りにはまだチョロ松くんのオタ友が!
「僕には信頼できる同志がいることを忘れていた君の負けだよ…せいぜい無駄な足掻きを………あれ?」
「…あら」
二人して辺りを見回すも、人っ子一人見当たらない。
…もしかして、さっきの背負い投げを見てみんな逃げちゃった?
Σ「ちょっ、えぇぇぇぇーーーッ!?ふざっけんなよお前らぁぁぁ!オタクの力ってこんなもん!?…まぁこんなもんか。じゃなくてぇぇッ!!」
よほどダメージが大きかったのか未だ地面に突っ伏しながらも、誰もいなくなった空間に怒濤のツッコミを浴びせるチョロ松くん。
…そしてそんな彼の頭上で、巨大なハンマーを掲げる私。
「秘蔵コレクションもらえるならなんでもするっつったろうが!ってかお前らライブの時はあんなにハッスルしてんだから体力あるだろ何一丁前にビビってトンズラしてんだこの萌え豚どm「うるっさい!!!」ゴンッ!「がふッ…!!あ、三途の川が…み…え…」ちーん
哀れね…同情するわ。アディオス☆