第6章 松野チョロ松という男
「な、なによそれ…!あの人たちは一体誰なの?!」
「端的に言ってしまうと、僕のオタク仲間だよ。実は僕、こう見えても¨橋本にゃー¨っていう地下アイドルの大ファンでさ。重度のドルヲタなんだよね」
ここに来てまさかの衝撃カミングアウト!?ドルヲタ公言とかレベル高すぎてついていけない!もう開き直ってるの?!
「それで今回、僕の秘蔵コレクションと引き換えに、彼らに極秘で協力を依頼したんだ。まぁ僕1人でも君を捕まえることはできなくもないんだけど、君ってかなり暴力的らしいからね。念には念を、だよ」
「ッさ、最低!こんなの多勢に無勢だわ!」
感情のままに怒りをぶつけると、彼から笑顔が消えた。
そして、まるでゴミでも見るかのような絶対零度の瞳で私を見下ろす。
「は?うっざ」
Σ「…!?」
いきなり胸ぐらを掴まれ、彼の冷めた表情が間近に迫り、全身に戦慄が走った。
「ムカつくんだけど、その態度。ちゃんさ、俺を怒らせたいわけ?」
チッ、と舌打ちをして、彼は心底不愉快そうに私を詰る。
なんで…?チョロ松くん、なんで急に人が変わっちゃったの?
ついさっきまで、不気味なくらい笑顔を絶やさなかったのに…こっちが本性…?
でもこの表情…見覚えがある。かつて、6つ子の中でもただ1人、度を越えた虐めをしてきた誰かがいたことを思い出した。
それは、もしかして…チョロ松くん?
「どうしたの?まさかこれくらいで怯えてるわけじゃないよね。まだ言いたいことがあるなら聞いてやらなくもないけど?」
「…っ…チョロ松くん…」
なんだかすごく、胸が苦しい。それに、悲しい。
彼にこんなにも冷たくあしらわれることが…耐えられないほどに。
復讐するためにこの地に戻ってきた。復讐を望むくらい、彼らが大嫌いなはずだった。
それなのに…
「…気に入らない」
「は?」
「認めたくない…!」
こんな屈辱、あってたまるものか。
でも…