第27章 飴と恋模様【十四松】
…そんなこんなで。
ひとしきりストレス発散キャッチボールをした後、疲れきった私たちは座って休憩していた。
「はぁ、はぁ…う、腕痛い…」「あはは!でも楽しかったー!特に君の暴言!」「だ、誰にも言わないでね…?」
ついいろいろ口走っちゃったけど…確かに大声で叫びながらボールを思い切り投げるのは効果抜群だったわ。だいぶすっきりしたかも。
それもこれも、十四松のおかげね。
「十四松、ありが…むぐっ」
お礼の言葉を遮るように、口内に何かを押し込まれた。なんだか甘いけど、これは…
「飴?」
コロコロと舌先で転がしてみる。丸くて甘いイチゴ味のそれは、どうやら飴玉のようだ。
「おいしいー?」「う、うん。でもなんで飴?」「疲れた体には甘いものっすよー!」「あ、なるほど」「まだあるよ!」
彼は短パンのポケットに手を入れ、中からいろんな味の飴玉を取り出した。ブドウにメロンといった定番から、ミルクキャンディーやのど飴、棒つきキャンディーまで。
「こんなにたくさん…飴好きなの?」
「うん、大好きだよ!たまにね、近所の駄菓子屋さんに買いに行くんだー!」
キラキラとした笑顔で言い放つ彼。なんて罪すぎる成人男性なのかしら…
「ねぇねぇ、それイチゴだよね!僕も食べていいー?」「え?どういう…」
ちゅっ
突然、あまりにも突然…
彼にキスされた。
Σ「!!?///」
唇をペロリと舐められて、僅かに開いた口の中に舌が入れられる。飴が二人分の熱でどんどん溶けていき、イチゴの甘さが口一杯に広がった。
「ん…ぅ…///」
くちゅり、と音を立てて唇が離される。彼は満足そうに笑んだ。
「今のキス、すんげー甘かったね!イチゴ味、おいしかったー!」
て、天然…?それともわざと?どっちにしろこんな飴の食べ方、心臓に悪すぎ…!///
「も、もう、十四松!次からは飴は自分で食べなさい!///」
「が食べてるのの方が、甘くておいしいよ?」
「い、いかなる理由があろうとも、だめなものはだめ!///」「次なに食べるー?」「聞いてるの十四松っ!」
普段は子供のように無邪気で可愛らしいのに…
こういうの、ほんとにずるいと思う…!///