第27章 飴と恋模様【十四松】
仕事が終わり外に出ると、十四松が入り口で待っていた。
「十四松、お待たせ」
「あ!、お疲れさまー!」ガバッ「わっ!」
私の姿を認めると、彼は勢いよく抱き付いてくる。今日も変わらず元気いっぱいみたいね。
「!僕についてきてほしいんだけど、いいかな?」
「?うん、構わないけど…」
「ありがとう!さっそく出発しよー!」「??」
***
着いたのは、みんなの家の近くの河川敷だった。
「目的地ってここ?十四松」「うん、そうだよー!」
今日はいい天気だから、川の側は涼しくて気持ちいいけど…なんでここに来たのかしら?
「ちょっと待ってね!」「?」
彼はパーカーのポケットに手を突っ込み、ごそごそと何かを探るような仕草をする。…どこぞやの猫型ロボットを思い出すわね。
「うーんと、うーんと…あれでもないー、これでもないー」ごそごそ
…いや、なんか本気で探してない?あのポケットは四次元的なアレなの?でもそういえば、前もいきなりバットを出現させてたような…
「あ、あった!これこれ!」バッ
…嬉しそうにポケットから引き抜いた手に握られていたのは、やはりバットだった…!
ツッコミたい激しくツッコミたいでも我慢まだ目の錯覚かもしれないし!
「あとはボールとー、グローブー!」
違う!目の錯覚じゃない!これは現実だ!
「十四松!そのポケットどうなってるの?!」「え?んっとねー、企業秘密!」「どこの企業よ!」「あはは、細かいことは気にしなーい!」「細かくないから!誰でも気になるから!」
謎の四次元ポケット…この世に実在していたなんて!…まぁギャグ世界だからなんでもありね、うん(メタ)
この件に関してはとりあえず置いておいて、出てきた道具からして野球がしたいのかしら。
「はい、!これつけてね!」
手渡されたのは、少し小さめのグローブ。こんなの、初めて触ったかも。
「キャッチボールするの?」「うん!安心して、僕優しく投げるから!」
ぜひともそうしていただきたい…いつぞやのトド松みたいな仕打ちだけは勘弁よ。
でも、キャッチボールかぁ。なんだか楽しそうね。