第22章 恋慕と嫉妬【チョロ松】※
「そう。少しでも嫌だとか不快に思ったらはっ倒すから、その時は素直にやめてね」「なんか不穏な単語が聞こえたんだけど?!」
…なんて、我ながら回りくどいと思う。
今まで、彼らにされて嫌だったことなんて(虐めを除いては)ない。
きっと最後まで私は抵抗しないだろう。…それでもいい。ただ、理由さえあれば。
恋心を確かめる、という理由があるなら、この行為も正当化できるような気がした。
それに…彼を元気づけたい気持ちも、偽りではないもの。
「いい?チョロ松」
「……分かったよ。待って、やっぱりシャワー浴びてくるから」
「ううん、そのままでいい。時間もないし」
「……うん」
バサッ…
彼はスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイをほどいてYシャツ一枚になる。そんな姿はやっぱり新鮮で、またじっと眺めてしまった。
「じゃあまずは…どこ?」
「あ…ふ、普通に抱き締めてくれる?」
「…うん、分かった」
お互いに体を近付け、背中に腕を回して抱き合う。密着した途端、心臓の鼓動が早くなった。
「…ドキドキ、してるね」
「…チョロ松こそ」
「次は?」
「……ほ、頬にキスとか?」
「うん」
唇が頬に触れる。触れた箇所がより一層熱く疼き、鼓動はさらに早くなっていく。
「…次」
「ん…く、唇に…」
…自分で提案したことなのに、だんだん恥ずかしくなってきた。
それにチョロ松があまり動じずに淡々とこなしていくものだから余計に…さっきの告白でいつもの彼に戻ったはずなんだけどな…
もしかしてまだ、スイッチ入ったまま…?
「…ん…///」
瞳を閉じて、彼の口付けを受け入れる。数秒重ね合わせた後、一度唇を離してまた重ねる。
…嫌いな人とこんなことなんて…したくない。できるはずない。
何度も重ね合わせるのは、離れるのが寂しいから。求めてしまうから。
「……好き……」
「…え…?」
小さく呟く。無意識に溢れた言葉。
これが、私の本心なのかな…
「っちゃん…生殺しにも程があるよ…」「…?」