第22章 恋慕と嫉妬【チョロ松】※
「チョロ松、ここで会ったのも何かの縁よ!お昼食べた?食べてないなら私が奢ってあげる!」「……へ?」
どんなに落ち込んでても、おいしいものを食べれば元気になるんじゃないかしら?少なくとも私はそのタイプなんだけど。
期待を込めた視線を向けると、彼は私の意図を察してくれたらしく、僅かに微笑んで小さく頷いた。
「…うん、ありがとう。じゃあお言葉に甘えてもいいかな?」
「もちろん!」
よかった、これで彼を元気づけられる。
と、店に向かう前に所持金を確認しておこう。いくらあったっけ…
…………
……さ
300円しかなかった…!!!
「?ちゃん?」
しまったァァァッ!今月なんだかんだピンチで生活費すら切り詰めてたのをすっかり忘れてたァァァッ!いやなんでピンチかって、今はなきバズーカや波動砲やらの改造もろもろに有り金ほとんど注ぎ込んでたからなんだけども!つまり自業自得なんだけども!
貯金も残り少なかったはずだし、とても人に食事を奢る余裕なんてない!バカ!私のバカ!
な、なんて誤魔化そう…「お金がなかった、許しててへぺろ☆」とか言ったらドSスイッチ入って殺されるかもしれない…いやでも案外…いやでも…
「…もしかして、お金がないとか?」Σ「ぎくっ!」「いや、君も声に出てるよ」
図星をつかれ、二の句が告げなくなる。こうなったら素直に謝るしかないわね…
「…その…ごめんなさい。今月、だいぶピンチで…お、奢れそうにないわ…本当にごめんね」
「…そっか。ううん、いいよ。……僕もその方が助かるし」
「え…?」
その方が助かる…?どういう意味?
「じゃあ僕、家に帰るね。気を遣ってくれて嬉しかったよ。またね、ちゃん」
彼が軽く手を振って、踵を返す。
黙って見送ろうとした…けれど、どうにも最後の台詞が気になって、私は再び彼の腕を掴んで引き止めてしまった。
「ま、待って!今の、どういう意味なの?」
「っ…!」
「もしかして、迷惑だった?あのままあなたに気付かずに無視すればよかったの?ねぇ、チョロ松!」