第22章 恋慕と嫉妬【チョロ松】※
ゆっくりと目を開ける。側でアラームが鳴っていた。
懐かしい夢を見たな…なんで今、あの頃の出来事を夢に見たんだろう。
アラームを止めて起き上がる。時刻は朝7時。今日は早番だったわね。
寝起きなのにやけに頭が冴えている。テキパキと体を動かして準備をしながら、夢のこと…というより、あのかくれんぼのことを思い返してみた。
夢では最後に、誰かに名前を呼ばれた。現実ではどうだったかしら。
なんせ悪童と呼ばれ、周囲の大人ですら手を焼いていた6つ子。彼らなら平気で私を置き去りにするだろうから、放置されたままの可能性が高い。
でもそうだとしたら、あの夢は…
って、私ったらまた6つ子のことばかり考えてる。とうとう夢にまで出てくるようになってしまった。これは相当重症ね…。
それもこれも、ここ最近の6つ子とのあれやこれやのせい。再会してまだ日も浅いのに、うち4人と一線を越えてしまったとか、もはや笑い話にもならないわ。
やっぱり、なるべく早く自分の気持ちを固めるべきよね。私がいつまでも曖昧な返事しかしないから、あいつらも調子に乗りっぱなしなのよ、きっとそう。
けどそれにしては、街中で偶然会うとか家を訪ねてくるとかがないのよね。最初のあの積極的さはなんだったのか。
…昨日なんて。
全ての首謀者とも言えるあのおそ松が、不自然なほど大人しかったのも気にかかるし。
おかげで他の兄弟にバレる前に逃げ出せたのは不幸中の幸いだったけど、彼の目的が分からない。だっておそ松が一番そういう欲望強そうなのに。
…また疑心暗鬼。だめね、いい加減この癖をなんとかしないと、いつまで経ってもみんなと仲良くなんてなれないわ。
真実はどうあれ、とにかく今日こそ仕事頑張るわよ!切り替えが大事よね!
パンッと両頬を叩いて自分に喝を入れる。ん、これでよし!
さて、朝食を食べて力をつけないと!