第22章 恋慕と嫉妬【チョロ松】※
夢を見た。幼い頃の私と6つ子が出てくる夢。
年齢は3〜5歳くらい。近所の公園でかくれんぼをして遊んでるんだけど、私だけ誰も探しに来てくれなくて。
これがまた過去を忠実に再現してるのよね。まだ人を疑うことを知らなかったから、ただじっと待ってた。わざと放っておかれてるとは知らずに。
そんなに大したところに隠れてたわけじゃない。所詮幼子だから、せいぜい遊具の陰に隠れるのが限界。パンダの乗り物の横に座り込んで、まだかなまだかなとうきうきしながら待ってたのよね。見つかっちゃいけないのに、見つかるのを期待してた。
でも、1時間、2時間と待っても鬼はやってこない。やがて日が暮れて肌寒くなってくる。夢なはずなのに、過去の記憶も相まってやけにリアルだ。
この後は…どうなったんだっけ?誰か来てくれたのか、それとも夜まで放置されたのか…忘れちゃったな。
辺りが暗くなる。ああ、夢もここで醒めてしまうのか、と思ったその時。
「ちゃん」
私の名前を呼ぶ声が聞こえた…気がした。
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