第21章 嵐は突然やってくる
私が十四松に頷くと、彼はゆっくりと押し入れを開け、私の姿が見えないように慎重に出ていった。
「お、おそ松兄さん!ちわっす!」
「お前、なんでんなとこ入ってたの?」
「えっ、えーっと…えーっと…」
が、頑張れ!十四松!
「……!そ、ソロプレイをしておりやした!」
Σじゅうしまぁぁぁつ!!?もうちょっとそっち方面から離れてほしかったんですけどぉぉ!!
「あー、やっぱり?なんかそんな気がしてたんだよねぇ。うっすら声聞こえてたし。チョロ松は気付いてなかったみたいだけどさ」
ぎくっ!こ、声聞こえてたの?!
「あ、あはは…は、恥ずかしいんで、みんなには黙っててほしいっす…」
「おうおう!お兄ちゃん、可愛い弟の秘密は守るよん♪ちなみにぃ、何でヌいてたの?」
クソ長男んんん!そこんとこ深く掘り下げなくていいからさっさとどっか行け!!
「ぼ、僕の本っすよ!兄さんのは借りてないよ!」
「ほんとーにー?ま、いいけど。ってかお前なんかもぞついてんね。ひょっとしてトイレ?」
「う、うん」
「わりーな、中断させちまって。ほら、行ってこいよ」「あ…は、はいっす」
足音が聞こえ、十四松も部屋を出ていったのが分かった。…ふぅ、なんとか一段落ね。
これで後は、彼が助けてくれるのを待つだけ。物音は一切立てずに、息を殺して…
「…」
………え?
押し入れの襖が開かれる。一瞬眩しさに目がくらんだ後、再び視界に映ったのは…
「み〜つけた♪」
愉快そうな笑みを浮かべてこちらを見下ろす、おそ松の姿だった。
「き、きゃあぁぁぁ!!」「うおッ!?」
驚きのあまり腹の底から叫ぶ。彼が怯んだ隙をついて、部屋から脱出しようと試みるも…
「おっと、その手には乗らないよん♪」「きゃっ!」
あえなく失敗。容易く抱きとめられてしまった。
「し…知ってたの?おそ松…」
「だって靴あったじゃん。あれ君のだろ?」
「チョロ松は気付いてないって…」
「あいつそういうとこ鈍いんだよなぁ。母さんのだとでも思ってスルーしたんじゃね?」