第20章 ¨好き¨の意味【十四松】※
「したことって…。…!///」
と、トド松、他の兄弟には言わないって約束してくれたのに…!
私が羞恥心と怒りから顔を火照らせると、十四松は慌てたように弁解した。
「あっ、違うよ!トド松がカラ松兄さんや一松兄さんと話してるのを聞いちゃっただけ。トド松には黙ってるようにって釘を刺されたけど…ごめん、僕そういうの苦手なんだ。嘘つくとか騙すとか」
「…そっか」
十四松らしい。彼は本当に純粋で優しい人。
彼に限ったことではないけれど、6つ子のみんなはもっと素をさらけ出せばいいのにと思う。そうすればもっと、彼らの良さが分かるというのに。
でも…たまに不意打ちのように見せてくれる優しさだからこそ、惹かれるのかもしれないな…。
「だ、だから…僕も、君と仲良くなりたくて…仲良くなったら、好きになってくれるかも、って…」
「…うん」
「僕ね…が大好きなんだ。君を虐めちゃった過去は消せないけど、それを忘れるくらい、君をこれから大切にしていきたいんだ。…その、だから…///」
彼の言いたいことは、もうちゃんと伝わってる。
純粋すぎるがゆえに、恋愛には不器用なのかもしれない。私も経験豊富ではないからこそ、彼の気持ちはよく分かるから。
「…十四松。ねぇ、笑って?」
「…?」
「私、あなたの笑った顔も好きだから。幸せをお裾分けされた気持ちになるし…何より、可愛いもの」
褒めたつもりだった。でも彼は不満げに眉を潜める。
「可愛い…?僕、可愛いの?」
「え?う、うん…あ、気に障った…?」
ぎゅうっ「!///」
一層強く抱き締められる。今度は正面から。
「……僕、君にはかっこいいって思われたいな」
…それはまるで別人のような、低く色気のある声で。
流されるわけではなく、ただ彼に身を預けて好きにされたい…と本心から願ってしまった。
¨好き¨の意味が変わるまで、あと少しなのかもしれない…―