第20章 ¨好き¨の意味【十四松】※
したくないって…じゃあさっきのは…
「ねぇ、。そんなに、僕と二人きりになるの、嫌なの?」
「…!」
低い声が耳に届く。顔は見えないけれど、きっと彼は今、いつもの笑顔を封印しているに違いない。
それくらい…悲しげに聞こえたから。
「い、嫌なんて思ってないわ。どうしてそんなことを言うの…?」
「だって、さっきからぎこちないよ。何かを必死に避けようとしてるっていうか…僕のこと、嫌いなのかなって思っちゃって…」
気のせいじゃない。体も、声も震えてる。泣いてるの?私が彼を泣かせてしまったの?
そんなつもりじゃなかったのに。私の無神経な態度が、彼を傷付けていたんだとしたら。
…謝らないといけない。
「…!?」
私は可能な限り体を動かして振り向くと、彼の頬に手を添え、そっと唇を重ね合わせた。
涙目だった彼の瞳が大きく見開かれる。やがて唇を離すと、彼の顔は真っ赤に染まっていた。
「///あ…え、えと…っ」
「…ごめんね。私が全部悪かったわ」
「え…っ」
「あなたのことが嫌いなわけじゃない。むしろ好きよ。その…あなたの欲しい¨好き¨とは少し違うけれど、でも好意を抱いてるのは変わらない」
「…」
「二人きりになるのは、確かに避けてた…でもそれは嫌だからじゃなくて、気持ちの整理がついてなかったから。流されて中途半端な気持ちのままするのは、何か違うんじゃないかって迷ってたからなの。…でもそれが逆に、あなたを傷付けてしまう結果に繋がってしまった。本当にごめんね、十四松」
もう一度唇にキスをすると、彼が動いた。
「…ん…っ///」
後頭部を手で抑えられ、上書きするように深く口付けられる。私は瞼を閉じてそれを受け入れた。
「…はぁ…っごめん…なんか、我慢できなくて…」
「十四松…」
こつん、と額を合わせ、お互い見つめ合う。暫しの沈黙の後、彼が口を開いた。
「…本当は口止めされてたんだけど…実はね、僕、君が兄さんたちやトド松としたこと、知ってるんだ」