第20章 ¨好き¨の意味【十四松】※
私は手短に、ここがスタバァでどんな店かというのを教えてあげた。
「スタバァだったんだぁ!僕前に兄さんたちと来たことあるよ!」
「え、そうなの?なんだか意外ね」
6つ子が揃ってスタバァに赴く姿なんて、想像もつかないんだけれど。
「あのね、トッティがここでバイトしてたの!だから応援しに来たんだ!」
「トド松が?ますます意外…いえ、彼ならありえるか。でも応援って?」
「トッティすごかったんだよー!地面に頭打ち付けて血みどろッティになったり、面白い顔芸いっぱいしたり、あっあとね、一松兄さんを放り投げてゴミ箱に突っ込んでた!」
だめだ、会話が成り立たないどころか内容が全く理解できん。特に後半どういう状況?
まぁいいわ、さらっと流してこの話題は終わりにしましょう。次よ、次。
「ところで十四松。せっかく来たんだし、何か頼んだら?」
「でも僕お金持ってないよー」
マジか。
「一杯くらい奢ってあげるわ。一緒にカウンターに行きましょう」
「いいんスか!、ゴチになりますでございー!」
何語…?笑顔が可愛いから許す。
二人でレジに向かう。案の定十四松は注文の仕方がよく分からないのか、メニュー表を見ながらうーんうーんと悩み始めた。
店員さん、微笑ましそうに眺めてるけど、後ろもつかえるし助け船を出したほうがいいわよね。
「十四松。サイズとドリンクの種類とトッピングとかが選べるのよ」
「サイズ?でっかいのがいい!」
「じゃあグランデ…ベンティーノかな。何飲みたい?」
「冷たいの!」「フラペチーノ系かしら。トッピングいる?」「ニンニクマシマシ!」「それラーメンの呪文よ。じゃなくてほら、チョコチップとか…」くどくどくど…
…結局10分経っても決まらなかった(というか意思の疎通がうまく取れなかった)ので、私が適当に頼みました。最初からこうすべきだったね!
「うんまー!も飲む飲むー?」
「いいの?じゃあ少しだけ…」
差し出されたバニラクリームフラペチーノに手を伸ばそうとして、慌てて引っ込める。
いやだめよ、甘いものを飲む気分じゃないんだってば。
あと…か、間接キスになるし…