第19章 星に願いを
「……はー、だる…」
一松は…あれ、もしかして書いてすらいない?
「一松。書かないの?」
「…だって俺、願い事とかないし。そもそも迷信でしょ、これ。本当に願いが叶うなら、今頃世の中の人間はみんな幸せだよ」
うわぁお…いつも以上に卑屈…彼らしいけどね。
「まぁ、そう言わずに。騙されたと思って、書くだけ書いてみたら?」
「だから、願い事なんてないってば」「どんな些細なことでもいいのよ?」「………」
私の言葉に何か思い当たる節があったのか、彼はペンを持ち直して短冊に書き始める。
「…ん、できた。これでいい?」
そこには…
『猫になりたい』
「…あ…か、叶うといいね…?」「///…うん」
それ以上、フォローできなかった。
***
「!見て見て!できた!できたよ!」ドーンッΣ「ごふッ!」
私が気付く前に向こうからやってきました、十四松。うん、可愛いから許すわ。
「はいはい、じゃあ見るわね」「いいッスよー!」
『やきう!!!』
「………十四松さん」「あい!」「説明おなしゃす」
「えっとね、やきう!!!」「ああ、うん。それは分かった。字おっきいし。というかはみ出てるし。そうじゃなくてね」「一松兄さんがね、いっぱい書いちゃだめって言ってたから、これだけにしたの!」「そっか、うん。それでこれはどういう「やきう!!!」…ソウデスカ」
***
最後はトド松ね。
「トド松、願い事は書けた?」
「ちゃん。うん、今書けたところだよ」
彼の手元を覗き込む。短冊には丸っこい字でこう記されていた。
『家族みんなで仲良く暮らしていけますように♪』
…あれ、おかしいな。普通だ。
「トド松、あなたって実はいい子だったのね」
「え?ああ、もしかして何か勘違いしてる?こっちはダミーだよ」「は?」「本命はこっち♪」
短冊を裏返すと、
『地獄の足枷どもをどうにか蹴落としてリア充になれますように☆』
ど、ドライモンスタァァァ…「僕が兄さんたちと仲良くしたいなんて、死んでも思わないよ☆」
***