第19章 星に願いを
松野ブラザーズの闇()を見たところで、書いた短冊をどうするかという話になった。
「やっぱり笹の葉に吊るしたいよね」「でもうちに笹なんて生えてないよー?」
うーん、しまった。その後のことまで考えてなかったわ。どうしよう。
「ハイハイハーイ!僕笹取ってくる!」「…俺も行くよ。十四松だけじゃいろいろと心配」
悩んでいると、十四松と一松が率先して笹を取りに行くと言い出した。ちょっと意味が分からないけど、本人たちはやる気みたいだから任せよう。
「うん、じゃあお願い」「行こう、一松兄さん!」「…ん」
「笹なんてどこにあるんだ?」「向かった方角からするに、裏山じゃない?」「そういえばあったかも」
家の外で待つこと十数分。早くも二人が戻ってきた。彼らは大きな笹を担いでいる。
「お待たせー!笹持ってきたよー!」「疲れた…」
「ちょ、二人ともボロボロじゃん!」「転んだ!」「バカなの?!」
「すげぇ、マジであったんだな」「よく引っこ抜いてこれたよね…」「とりあえずありがとう、二人とも」「うん」
「イヨイショー!」
十四松が笹を地面に突き刺す。おお、なんかそれっぽい!
「これで準備は整ったな」「俺一番高いとこー!」「あ、ずるいよおそ松兄さん!」
もう…静かに待っていたと思ったら、またすぐわちゃわちゃし出すんだから。本当に成人男性なのか疑っちゃうよ。
「そうだ!ねぇねぇ、はどんな願い事したの?」
「え、私?秘密」「…いや、秘密って言ったってすぐバレるでしょ」「一松、夢のないこと言わない!」
私はみんなが吊るした場所より、少し離れた位置に自分の短冊をくくりつける。
確かにすぐバレちゃうけど…口で伝えるのは恥ずかしいから、これでいいの。
『みんなとの幸せな時間が、これからも続いていきますように』
…後で、案の定ぐでんぐでんの酔っ払いに成り下がった彼らに痺れを切らした私が、怒りに任せて笹ごとデストロイしたのは内緒の話。