第19章 星に願いを
…何はともあれ、これで全員揃ったわね。出すなら今よ。
「んじゃさっそくおっ始めようぜー!まずは乾杯「ちょっと待ったぁ!」へ?」
缶ビール片手に早くも上機嫌そうなおそ松のセリフを遮り、私はカバンの中からあるものを取り出した。
「パーティーの前に!これ、みんなで書かない?」
「…短冊?」
そう。この日のためにわざわざ雑貨屋で買っておいたのだ。
どうせなら七夕らしいことをしたい、と思って面白半分で用意したんだけど…子供っぽいって笑われちゃうかしら。
しかし、みんなの反応は意外にも。
「へぇ、いいねそれ。雰囲気出るし」
「懐かしいなぁ。昔はみんなで書いて笹に吊るしてたよね」
「ああ。願い事は誰も叶ってないがな」
「…そりゃ、あんな無茶な内容叶うわけないでしょ」
「僕願い事いっぱいあるよ!書く書く!」
「俺も賛成!なんか楽しそうだしな!」
「みんな…」
…よかった。笑われたらぶっ飛ばすところだった。恥ずかしすぎて。
「けどそれさぁ、なんで今なんだよ?食べてからでいーじゃんー」
「だめよ。酔っ払いに用はありません。正常な時に書いてほしいの」「まるで酔っ払ったら異常になるみたいな言い方しないでくれる?」
「とにかく、書き終わるまで食事もお酒も禁止!それが嫌ならさっさと書きなさい!」
みんなは「え〜」と不満げな声を漏らすも、素直に短冊を手に取り、ペンを持って各々願い事を書き始めた。
さて、私も。何色にしよう…みんなはそれぞれのイメージカラー…じゃなくて、好きな色の短冊を選んだみたいだし、私は色被りしないように…あ、このオレンジ色にしようっと。
「けっこう難しいよね、こういうの。願い事って1つだけなんでしょ?」
「…まぁ、あまり欲張っても仕方ないしね」
「え、1個じゃないとだめなのー?」「十四松、お前書きすぎ…何個あんの…」
「んー、迷うなぁ…」「チョロ松ぅ、こういうのは直感だって直感!」「おそ松兄さんは単細胞だからそれでいいかもしれないけど、僕は違うの」「うわ、出たよライジング!」
「むむ…やはりここは尾崎でいくべきか…」
みんなだいぶ悩んでるわね。私はもう書いちゃったんだけどな。