第19章 星に願いを
思わずちゃぶ台をひっくり返そうとして、後ろからチョロ松に羽交い締めにされる。
「ご、ごめんちゃん!始めのうちは僕らも頑張ってたんだよ?途中までそれっぽく飾り付けできてたんだよ?」
「…でもおそ松兄さんが、『よく考えたら七夕くらいでここまでしなくてよくね?』とか今更なこと言い出して」
「あ、後片付けが面倒だとか、センスがないからこれ以上は無理だとか…その、つまり…」
「諦めたわけ?」「「「…ハ、ハイ」」」「貴様らぁぁぁぁ!!!」「ちょ、タンマタンマタンマ!ちゃん、ヒロインにあるまじき形相してるからね?!気持ちは痛いほど分かるけど落ち着いて!」
チョロ松の必死の説得により、なんとか落ち着きを取り戻す。はぁ、クズだバカだとは思ってたけどここまでとは。道理で騒がしかったはずだわ。
「はい、どうぞ!急ごしらえだからそんなに凝ったものは作れなかったわ。文句は受け付けないわよ」
半ばヤケクソ気味に、ちゃぶ台に料理を並べる。するとそれを見てみんなは瞳を輝かせた。
「わぁ、これって手巻き寿司?おいしそう!」「具材巻いて食べるだけですけどね」
「…なんか、ひな祭りみたい」「あんた男よね、一松」
「フッ…シンプルイズベストだな、嫌いじゃないぜ」「遠回しにディスってるのそれ」
「全く、贅沢言うなよ。彼女、ありあわせの食材でよくやってくれたと思うよ。あ、ちなみにこれインスタントのお吸い物ね」「チョロ松、あんたの物言いが一番イラッとくるわ」
私だって、事前に言っておいてくれればもう少し豪華なもの作れたわよ!これだからこいつらは〜…!
スパァンッ「おーお前ら!兄ちゃんが帰ったぞ〜!」「ただいマッスルハッスル!」
襖が勢いよく開き、コンビニから戻ってきたおそ松と十四松が姿を見せる。両手いっぱいにビールの入った袋を持っていた。
「な、何その量!」「ん?これくらい普通だよぉ。なぁ、みんな?」「「「「「うん」」」」」「怖いわ!真顔やめなさい!」