第18章 甘い甘い蜂蜜のような【トド松】※
「君が誰と付き合おうが、結婚しようが、君の自由だってちゃんと分かってるよ。でもさ、僕はどうしたって君が好きだから…気になっちゃうんだ」
彼が、寄り添うように私の体に触れる。
あったかくてふわふわしたぬくもりが伝わってきて、頬が赤く染まってゆく。
「…ちゃん。僕もそろそろ、我慢の限界かも」
「!」
「ホットケーキができるまで待ってるつもりだったけど…その前に君を、味見してもいい?」
そっと耳元で囁かれれば、心臓が高鳴って全身が疼く。一度ならず二度までも経験した甘い響きのそれは、私を惑わすには十分だった。
でも…ここで頷いたら、私…
「だ、だめ…トド松」
「…どうして?どうしてあの二人はよくて、僕はだめなの?」
「違う、トド松がだめなんじゃなくて。…私、好きかどうか分からない人でも簡単に体を許す軽い女って思われたくないの…」
また泣きたくなってくる。誘われたら誰とでも、なんて思われたくない。けれど事実、体は反応していて…そんな自分が嫌。
彼は苦笑すると、私を正面から抱き締めた。
「トドま…
「君は、僕ら6つ子以外の男も受け入れるの?誘われたら、したいって思う?」
「!いやよ、絶対いや!他の男なんて興味ないし、私はみんなだから……あ」
言ってしまって、気付いた。私がこんな想いを抱くのは、彼らにだけ。
彼らだから、私は。
「ふふ、それならいいんだ。僕ら6つ子しか眼中にないなら、浮気にもならないし軽い女だなんてこれっぽっちも思わないよ?最近こそ僕らみんな独断専行でまとまりがないけど、元は君をみんなのものにしようって言ってたくらいだしね。嫉妬はしちゃうけど、君が兄さんたちの誰と関係を持ったって咎めないよ」
…な、なんだか場合によってはすごいこと宣言されてる気がするけど、つまり
「へ、変じゃない…?恋人でもないのに、拒まないなんて…」
「まさか。それを言うなら、君の気持ちを知ってるのに襲おうとする僕らの方が、よっぽど質が悪いんじゃないかな。そうでしょ?」
「…うん…」
彼の言うことも最もだけど…どこか釈然としないのは、
本気で私を愛してくれてるみんなに、こんな形でしか応えてあげられない罪悪感があるからなのかな…。