第18章 甘い甘い蜂蜜のような【トド松】※
というわけで、ホットケーキ作りをすることになった私たち。
簡単だから二人がかりでやる必要はないんだけど、誰かと料理をするなんて滅多になかったから、なんだか楽しいかも。
「トド松、本当に初めてなの?混ぜるの上手ね」
ボールに入れた卵や牛乳、ミックスを手際よく混ぜる彼の手元を見て、思わず感心する。
「そう?だって混ぜるだけだよ」
「料理初心者はそれすらぎこちないもの。おばさんのお手伝いでもしてる?」
「あー、たまーにね。考えてもみて、母さんが手伝いを頼んだとして、それに応じる兄弟がうちにどれくらいいると思う?」
手伝いをしてくれる人…
おそ松は上手い言い訳作って逃げそうだし、一松は頼まれそうな雰囲気察知してすでに逃げてそうだし、十四松は手伝うんだけどとんでもないことになりそうだから頼まれもしないだろうし。
「うーん、3人?」
「誰と誰と誰?」
「カラ松とチョロ松とトド松」
「正解。でもその日の気分にも左右されるから、一概には言えないけどね。…はい、こんなものかな。焼く?」
「あ、うん」
彼から受け取った生地を、あらかじめ熱しておいたフライパンの上に流し込む。
「君はやっぱり、僕らのことよく分かってるよね」
「今のを当てたから?」
「それもあるけど…ううん、なんでもない。ホットケーキ、うまくできるといいね!」
「ふふ、そうね」
次第にいい匂いが漂ってくる。3分ほど経ってから裏返すと、綺麗なきつね色になっていた。
「これが焼き上がったら、次は2枚目ね」
「うん……ねぇ、ちゃん」
「なに?」
「君はさ。僕らのうち誰かを、恋人にする気はある?」
「え…!」
いきなり、核心をついた質問。
あえて考えないようにしてきたのに、なんで今そんなことを聞いてくるの?
動揺してる様子が伝わったのか、彼は笑って取り繕う。
「ああ、ごめん、急に!なんていうか、エプロン姿で台所に立ってる君を見てたらさ…嫌でも考えちゃって。将来、君は誰のお嫁さんになるんだろう…とか」
「トド松…」