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【おそ松さん】6人の悪魔と愛され幼なじみ

第15章 狼と眠り姫【カラ松】※





…彼の手が、頬に伸びてくる。


反射的に固く目を瞑って、次の刺激に身構えようとした。…でも、彼は何もしてこない。


代わりに、優しげな声が耳に届く。


「…悪かった。さすがにやりすぎたな」


恐る恐る目を開くと、彼は眉を下げて心配そうに私を見つめていた。


いつもの…カラ松に戻ってる…?


指で涙を拭われ、ハッと我に返る。今…謝られた…よね?


「殴らないのか?」


「え…」


「腹が立っているだろう?」


そう言われれば…でも殴ろうとは思わない。


「私が泣いたから、やめてくれたの…?」


「ああ…君を泣かせてまで襲うつもりはないからな」


…たったそれだけの言葉にほだされるなんて、我ながらどうかと思ったけれど。


「ふふ」


「こ、今度はなんだ?」


「だって、変なとこで紳士なんだもん…街中で女を襲う変態のくせに、ここで遠慮しちゃうなんて…やっぱりカラ松は優しいわ」


そう言って微笑むと、彼は不機嫌そうに眉を潜めた。


「話を聞いていなかったのか?俺は…


「聞いていたわ。でも私に前言撤回させるには、強引さが足りなかったわね。ここは泣かせてでも無理やり迫らないといけない場面だったんじゃない?」


「!い、いやそれは…さすがに…」


「ふふ。ほら、ね?あなたは私と同じ、悪になりきれない不器用な人。…それでいて、他人の痛みをちゃんと分かってあげられる、優しい人だわ」


「……っ///」


彼は顔を真っ赤にさせて、私の体を引き寄せ抱き締めた。


「きゃっ…///カラ松?」


「…、好きだ」


「!///」


「もう、抑えられそうにない…君を俺のものにしたいんだ。…いいか?」


…強引さが足りない…とは言ったけれど。


こういうのは…卑怯だ。


「……うん」


彼なら、いいかな…なんて思ってしまった私はやはり、甘くなりすぎなのかもしれない。


でも、私と似て不器用な彼を、例え一瞬でも¨愛しい¨と感じてしまった。


認めよう。私は少なくとも彼には、


恋に似た感情を抱いているのだと…―






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