第15章 狼と眠り姫【カラ松】※
…そんなこんなで。
たどり着いたは、
皆さんご存知、
ラブホテルでございます。
「あ、あのー…カラ松?」
「ん?」
「な、なんだか自然な流れで来ちゃったけど、や、やっぱり出ない?」
「他のホテルにするか?」
「そういうわけではなく…!」
まだフロントだけど、この雰囲気がすでに耐えられないんだってば!…とはなかなか言い出せない!
対して彼は迷うことなくタッチパネルを操作して、料金プランや部屋を手早く選んでいく。…童貞なのよね?なんなのその慣れた手付きは!
「とりあえず休憩2時間にした。ああ、部屋はこっちだぞ」
「え、問答無用?!」
訴えは聞き届けられず、手を引かれるまま部屋へと向かう。
うぅ、ラブホなんてまともに入るの人生初だから何がなんだかさっぱり分からない(以前トド松に勝手に連れてこられたけど)。変な部屋だったらどうしよう…
「…ここ?」「ああ」
意を決して中に入る。
「あれ?わりと普通…」
予想に反して落ち着いた佇まいの内装にほっとする。もっとなんかピンクっぽい感じかと思ってたわ。
「カラ松…先に聞いておくけれど」
「なんだ?」
「こういうところ…初めてなのよね?」
「ああ…まぁ、その…童貞だからな」
あ、別にそこまで言わなくていいのに。自分で言って自分で落ち込まないでほしいわ…。
とりあえず室内を見回ってみる。そこら辺にある普通のホテルと一見変わらない。もしかしたら引き出しとかにいかがわしいものが入ってるのかもしれないけど、あえて見ないでおこう。なんか怖い。
さて…私もあまり詳しくはないんだけど、まずはシャワーかしら。
もう来てしまったものは仕方ないんだし、いつまでも渋っていたら時間の無駄よね。かといって全く抵抗がないといったら嘘になるけど。
だって、私も初めてなんだし…まだ付き合ってもいないのにこんなこと、おかしいって分かってはいるんだけど…
「?」
「!あ、ああごめん、ぼーっとしてた。シャワー浴びてくるわね」
浴室に向かおうとすると、カラ松が後ろから私を抱き締めた。
「えっ…///」
「…緊張、してるのか?」