第2章 六つ子は朝が弱い。
「助かったよトド松〜。けど、あんな言い方しなくても…」
トド松に腕を引かれながらスタジオを出て廊下をあるく。
と「……。」
「ねぇ、トド松?何怒ってるの?」
いつもは饒舌なはずのトド松の無言に、言われもない恐怖を感じた。
「ね、ねぇって…」
と「はぁ、彼方ちゃんさぁ…あんな事されて何で黙ってたの?」
楽屋の近くのダンボールの山の影に隠れるよう、トド松は立った。
「あんな事って…私なんかされたっけ?」
と「はぁ!?彼方ちゃん太もも触られてたじゃん!!」
「あぁ、あれね。あの人、女の子マネージャーには皆にしてるから大丈夫よ。」
と「け、けど…」
「心配してくれてありがとう、トド松。けど、私は強いから大丈夫!!
ほらほら、早く楽屋行くよー」
半ば無理やりトド松を楽屋に入れた私は、今日の仕事の進み具合を伝えるため社長に連絡をいれた。