第3章 六つ子のやる気は疎ら
「社長!!わかる?! この事務所の一番偉い人の部屋!!」
ち「だ、ってほかの部屋だと、素の僕が事務所外に漏れるかもしれないし…」
「そこに気を使えたのはチョロちゃん偉いけど、家の外ではその趣味我慢しよっかって前に話し合ったよね??」
そう言ってチョロ松に詰め寄る私の肩に手が置かれた。
社長「まぁまぁ。彼をここに呼んだのは僕だから、怒るなら僕を怒っておくれ?」
振り返ると、温和な性格が顔から滲み出ている(到底人の上に立つ人間とは言えない人間第二位の)社長が立っていた。
ちなみに1位はおそ松。
社長「彼となら、僕が趣味で集めてる歴代アイドルの映像について語り合えると思ってね。」
そう言ってチョロ松に親指を立て爽やかな笑顔を向けている社長にため息が漏れる。
「社長、その趣味に関して今回は何も言いませんが!!
個人の趣味のものを事務所に保管するのはどうかと思います!!」
と「すごい、、社長に食ってかかってる…」
ち「二人、付き合い長いんだってー。社長に聞いた。」
「社長、余計な事言ったらチャーシューにしますよ?」
社長「す、すみません。」
どこぞのケアロボットのような社長が空気が抜けたように縮んだ
「はぁ……。とにかく、私は十四松に声掛けてくるから3人ともパーティ用の服に着替えて来て。」
と、い、ち「はーい」
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十四松を探して社長室の下の階にあるジムをぐるりと見渡した。
「居ないって事は……」
じ「フンヌッ!! フンヌッ!!」
「じゅーしまーつ!! あ、居た。」
何故かとんでもない運動量を求める十四松の為にヨガスタジオを改造して作られた通称「十四松ルーム」の扉を開けると、聞いたことのないスプリング音と熱気が私を襲った。
じ「あ、彼方!! おかえり〜。」
二パァっと効果音をつけたくなるような屈託のない笑顔で笑いかけてくる十四松に『あぁ。これが腕力のみでジム経営者を消沈させ、退任まで追い込んだ男の笑顔なのか』となんだかとてつもなく焦燥とした気分になった。
「ただいま〜。 そろそろシャワー浴びてスーツ着て欲しいんだけど、いいかな?」
じ「んー、いいよ〜!! 」
頭に巻いていたタオルで汗を拭いながらシャワー室へと素直に向かう十四松に、私は感動を覚えていた。
