第9章 8 Melody.〜天side〜
「ここは……」
手に痛みを覚えさせてからどれくらい経ったかはわからない。
けどフと気がつくと、ボクは実家にいた。
見覚えのある机。
見覚えのあるベッド。
見覚えのある写真立て。
ここは……昔のボクの部屋だ。
(どうして……)
「天にーい!!」
「……陸?」
「天っ!!」
(!今の声は……)
「……?わっ……!」
「遊びに来ちゃった!」
「え……」
そこへやって来たのは陸と。
しかし姿は小さな子供だった。
抱きついてきた彼女と自分の頭の位置が大して変わらない事から、ボクも幼児化しているのがわかる。
昔に戻ったのか……はたまた夢か……。
いや、時を戻すのは不可能だからこれは夢だ。
「もう姉!ほとんど毎日来てるだろー?」
「あっ、そうだった!はははっ!」
「っ……」
(可愛いから笑わないで)
「ねぇ天!一緒に遊ぼー?」
「いいよ」
(可愛いから上目遣いしないで)
の事を好きになったのはいつだっただろう。
気づいた時にはそうなってたから、ハッキリとはもうわからない。
一緒にいるだけで気持ちがフワフワしてドキドキして……とにかく毎日が楽しかった。
「2人は何したい?」
「トランプ!!トランプやろうよ!」
「えー、昨日やったよー?私は人形遊びしたーい!!」
「それってリ◯ちゃん人形だろ?!」
「うんっ!持ってきたよ!」
「人形遊びするならこっちの仮◯ライダーにしようよ!」
「ヤダ!可愛くない!リ◯ちゃんの方が可愛い!」
「クスッ……」
(可愛いのはと陸だ)