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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第9章 8 Melody.〜天side〜




「……」



その日の夜。
ボクは家の自室で、何もせずただ椅子に座っていた。

普段はさっさとシャワーを浴びて食事にして、仕事の準備やスケジュール確認をするのに……今日はなかなか力が入らない。


頭の中で、楽と龍の声が交互に響いているせいだ。



〝ああ、会った〟

〝ちゃんと話してきたよ。でも彼女なら大丈夫だ〟

〝追い風にしてみせるって言ってたぜ〟

〝結構ハートが強い子だよね〟

〝つーか天、お前あいつと幼馴染なんだってな〟

〝驚いたよ、あんな可愛い幼馴染がいたなんて〟



ボクと彼女が幼馴染だってバレた。

けどそれは、2人が小鳥遊事務所の寮に行った時点でもう遅い。
あそこには陸がいるから。


それよりも……楽の「ああ、会った」が何度も繰り返し聞こえてきて苛立つ。



(ボクだけ……)



Re:valeは明日彼女と会う約束がされている。
IDOLiSH7はと同じ事務所なんだから当然。
それに加えて楽と龍。


会えてないのはボクだけ。

そう、ボクだけ……。



「っ……!」



怒り、悲しみ、苦しみ、辛さ、悔しさ、虚しさ。


自分の身体を痛めつけるのは、アイドルとしてやってはいけない事だってわかってる。
アザが出来る可能性があるから。


けどボクには吐き出す場所がない。
こうするしかないって……ありったけの力を込めて目の前にあるテーブルに拳を叩きつけた。


すると当たり前のように痛みが手に伝わり、やがて熱を持ち始める。



(キミのせいで頭がおかしくなる……どうしてくれるの……っ)


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