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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第8章 7 Melody.




秒針の音がやけに大きく聞こえる。震えを早く止めろ、止めろと言われてるみたい。
急かしてもおさまらないのに。


でもこのまま自分を抱きしめているわけにもいかないんだ。
八乙女さんや十さん、それから陸も……みんな心配してる。



(訳を話さなきゃ……っ)
「あ、の……っ」

「姉……!もう大丈夫なの?怖くない?」

「まだ……ちょっと怖いけどっ……」

「ならもう少し休みなよ……!」

「大丈夫っ……あのっ……八乙女さん、十さん……っ」

「どうした?」

「ごめんなさいっ、私……実は男性が怖いんです……っ」



思いっきり「イヤっ!」と言った後で言い訳は通じない。

とにかく説明してわかってもらわないと……八乙女さん達には不愉快な思いをさせたままになってしまう。


ライバル事務所の相手でも、先輩達にはきちんと言っておかなきゃ。



「男が怖いだと……?」

「それってつまり男性恐怖症……?」

「はいっ……普通に話すぶんには大丈夫なんですけどっ……触られるのはまだ怖くて……っ」

「……だから俺が頭に触ろうとした時嫌がったのか」

「すみませんっ……」

「謝らないで。分かればこれから気をつけられるから。そうだよね、楽」

「ああ。悪かったな、怖がらせちまって」

「いえっ……本当にすみません……っ」

「だからお前は謝んな」

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